みなさま、こんにちは( or こんばんは)
天地小口 今村です!
今回は「製本好きいらっしゃい」の3回目をわたくし今村が書かせて頂きます。
ほんのすこしコアでニッチな製本のお話しです。
ご興味ある方はすこ~~~し長いお話しですがお付き合いいただければ嬉しいです。
私たちboocoは1冊1冊職人が表紙をくるんで作っています。
boocoDIARYについてはミゾのある本、いわば書店で売っているようなハードカバー本の仕様になります。
その作業の一部「表紙クルミ」という作業が本日のテーマとなります!
boocoを作る作業は大きく分けて
「折り」
「丁合」
「糸かがり」
「背固め」
「断裁」
「背巻き」
「表紙クルミ」
「検品」
こんな工程で進みます。
これだけでもかなりな工程踏んでますね…
この前に印刷であったり、試作作ったり、制作したりしているので「boocoが出来るまで」であればもっとたくさん工程があります。
この中の「表紙クルミ」という作業についてご紹介しますね。
「クルミ」=「包み(くるみ)」の事でいわば、断裁し仕上がった本文と表紙を糊で合体させて、本のミゾを入れてハードカバーの形にするめちゃくちゃ大事な作業です。
石田製本では数人の職人しかできないような作業ですが、毎日のように表紙クルミをしていて1日で約数百冊作業することもあります。
それでは作業を詳しく説明していきます。
機械も登場してくるのでそちらもご説明していきます。
◆表紙クルミ其の1「くるみテスト」
まず表紙クルミをする際に事前にテストで数冊作ります。
表紙の寸法は正しいか
本文の寸法は正しいか
背の寸法は適正か
開きは問題ないか
しっかり圧着できているか
Etc・・・
ここで本として仕上がりに問題ないかをチェックしてから作業が始まります。
問題があった場合はここで工程を変えたり、表紙を作り直したりしなくてはならない場合もございます。
◆表紙クルミ其の2「ミゾ入れ」
え?先にいれてるの?って思いましたよね(笑)
機械クルミの場合は先に表紙貼りですが、手クルミの場合は先にミゾ入れになります。
ここで登場する機械が「ミゾ入れ機」という機械です。
この「ミゾ入れ機」にはヒーターの機能が付いていて、表紙に既についているニカワを利用し熱で圧着しています。
そうすることにより、より本と密着し深いミゾが出来上がります。
こんな感じで上からあっつあつのブレードが下りてきてグッと溝を押し込んで圧着します。
ミゾ入れ作業はとても重要で、良く開く頑丈な本を作るためにもこの作業は必須になります。
ミゾ入れする際に気を付けなければいけないのが、ミゾを入れると本の形がほぼほぼ確定されます!
なのでチリと呼ばれる本文と表紙の差の部分が均等になっている状態でミゾ入れをしないと仕上がりに大きく影響します。
正に天地小口を注意してミゾをいれなければなりません!!→言いたかっただけです(笑)
ひとまずここでは
天地小口のチリに気を付けてセットし、表紙貼りで使ったニカワを利用して熱圧着し、本文とミゾでくっついている状態です。
そして次の工程へ進みま~す。
◆表紙クルミ其の3「糊入れ」
次は表紙と見返しの間に刷毛で糊入れします。
ここは本当に職人技です。
見ていても出来る気がしません(笑)
見返し側に刷毛でささっと糊を入れていくのですが、均一に均等に入れていかないと
・糊を入れすぎれば見返しにシワが入る
・糊が足りなければ圧着が不完全になる
・均等に入らなければ表紙が浮いてきてしまう
以上のことを気を付けながら進行しなければいけないため、弊社でもベテラン職人にしか出来ません。
糊を入れた後数冊を互い違いにし、数tの圧力がかかる「締め機」にて一気に圧力をかけて圧着します。
中央の段がゆっくり上下するようになっていて、上の段と下の段それぞれ交互に締めることが出来ます。
本がぐにーっと潰れるくらい圧力がかかるので、めちゃくちゃ危険な機械です。
これらの作業を終えたら、本に重しを乗せて数日養生します。
糊の水分で表紙が反ってしまうのを防ぐためです。
以上にて「表紙クルミ」作業は完了となります!!
弊社の職人は1日でこれを何回転もさせるため、もう一日中ひたすら作業をしてくれます。
精度も高く、人の手で作っているため対応も柔軟で、今ではありがたいことにここで作って欲しいと言われることもあります。
この部門の職人は普段から暇を見つけては商品開発もしていて、実はデコダイアリーはここの職人が産んだ商品でした!
毎日のように製本に携わっている人達なので「こんなのはどうだろう?」が形になる部門でもあります。
そんなモノづくりの醍醐味を感じる部門でもあります!!
《さいごに》
私は入社して営業をする前は工場内で色々な作業を手伝ってきました。
唯一ここだけは一切お手伝いをさせてもらえませんでした(笑)
おそらくやっても良かっただろうけど、すぐには出来ない工程というのは見た瞬間にわかりました!
製本には色々な工程があり、機械化が進んでものすごく効率は上がっているのに、ここの「表紙クルミ」だけはずっっっと一日中表紙クルミしていることもあるくらい大変な工程です。
石田製本の技術としても最も大事なところだし、ここで職人が作業をしてくれるから僕たち営業も自信を持ってモノづくりの提案ができる。
石田製本の一番の売りの部分でもあるし、コアにあたる部分です。
そんなほんの一部分ですが、少しだけご紹介させていただきました!
最後まで読んでいただきありがとうございます!
誤字脱字あるかもしれませんが、お付き合いいただき大変嬉しいです。
またブログ書いていきますのでよろしくお願いいたします。
※ブログの内容はあくまで弊社、もしくは執筆者の独自の見解であり、必ずしもどこの製本会社に当てはまるものとは限りません。
情報のお取扱いには十分ご注意頂き、ブログ内容の利用による如何なる結果も自己責任となりますのでご注意ください。
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次回も最新情報や商品情報をお伝えしていきますので、このブログに加え、
ホームページや各SNSなどでも情報を是非ともチェックをお願い致します!
それではまた!
執筆者:今村
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